原点──小学4年生で投資に魅せられた日

FX自動売買基盤『The XVI Architecture』と陸奥(Mutsu)の開発秘話を象徴するコンセプトイメージ
目次

本稿を読み進める前に

この記事は、単なる「儲かる手法」の解説書ではありません。
20年以上の歳月をかけ、一人のエンジニアが絶望と挫折を繰り返しながら、システム開発技術(SRE・ソフトウェアエンジニアリング)を投資の世界に転用し、ひとつの「答え」に辿り着くまでの軌跡を記したものです。

この記事は、以下のような方に向けて書きました

  • 自動売買(EA)開発に行き詰まりを感じているエンジニアの方
  • 「投資に勝つ」ことと「システムを安定稼働させる」ことの共通点を知りたい方
  • PythonやMT5を使った、モダンで堅牢な取引基盤の設計思想に触れたい方
  • 長く険しい開発の旅の果てに、何が残るのかを知りたい方

読者がこの記事から得られるもの

  • 自動売買の基盤: 18年のデータ蓄積と、Pythonによる最新の設計思想『The XVI Architecture』の全貌。
  • 戦法(Tactics)の分離: 感情に左右されず、ロジックを冷徹に実行するためのソフトウェア設計の極意。
  • エンジニアの生存戦略: 48歳になった私が、今なおコードを書き、挑戦し続ける理由とそのマインドセット。

これは、私と「戦友達(ソースコード)」が歩んできた、20年以上の戦いの記録です。
もしあなたが、昨日までの自分を超えるための「理(ことわり)」を探しているなら、ぜひ最後までお付き合いください。


著:くまちこ
公式:くまちこラボ(kumachiko-lab.com)
SNS(X | 旧 Twitter):@kumachiko7

本稿で綴るのは、私が20年以上かけて辿り着いた、ひとつの『答え』です。
かつて愛した名機の名を冠した基盤『The XVI Architecture』。
それが、これから語るFX自動売買システム『陸奥(Mutsu)』を支える真の姿です。


1. 原点:小学4年生で株に興味を持つ

なぜ小4で株に興味を持ったのでしょうか。その話の前に、小学校入学時まで話をさかのぼらせてください。

当時、母方の親戚(母のお姉さんですので、私からすると叔母にあたります)が小学校入学祝いとして、10万円もする百科事典をドーン!とプレゼントしてくれました。
そしてそれを「アメリカドクオオトカゲとか、こんなでかいトカゲがいるのか!」とか言いながら、1つ下の弟と一緒に嬉々として読み漁りました。

そこから数年後。4年生になっていた私は、3年生の弟からこんなことを言われます。
「友達のKくんが、なんでも知っているよ。嘘だと思うなら色々と聞いてみなよ」

1つ下の弟にそう言われ、私は鼻で笑いながら、弟にこう返しました。
「そんな訳ないだろ。それなら色々と聞いてやろうじゃないか」と。

それもそのはずです。入学祝いに贈られた 10万円の百科事典を、弟よりも良く読んでいましたし、学校のテストなんて100点取るのが当たり前。
そんな自負があったからです。

私は例の百科事典で丹念に情報の裏取りをし、年下のKくんに挑みました。
だが、結果は完敗でした。

百科事典の記述そのままの答えが、寸分違わず返ってきます。
その衝撃から、彼のお父さんについて尋ねたところ、「Kくんの父=株という謎のものをやっている人」という更なる衝撃を受けることになりました。

これが、私が株(投資)に興味を持ったきっかけです。
世界の深淵を覗き込んだような、そんな心境でした。

ほどなくして、私の手には子供向けのマンガ雑誌ではなく『日経新聞』が握られていました。

1.1. 日経からの投資人生

日経新聞を手にした小学生の私は、日本の経済に関するニュースを読むようになります。
しかし、それらと株の関連。どうやったら株が上がったり下がったりするのか。
イマイチ分からなかったのです・・・。

そんな状態なので、もっと具体的に株に関する勉強をしたいと思うものの、どのような本を読めばいいのか分かりません。
どこに行けばそのような本があるのか。周りの大人に聞いても分かりませんでした。

分からないだけでなく、「子供のくせに株なんてとんでもない」そんな意見すら飛んでくる始末でした。

当然、株に興味のある友達などいるはずもなく、投資に関しては本当に孤独でした。
そう。日経新聞から投資人生など始まることもなく、3ヶ月ほどで読むのを辞めてしまったのです。

1.2. つるから始まる倍バイゲーム

たった3ヶ月で日経新聞から手を引いてしまいましたが、投資に対する情熱を失った訳ではありません。
小学生から中学生になり、テレビで流れる経済ニュースには常に注目してニュースの内容がわかってきた頃。
とある中古ゲームショップで、こんなゲームを見つけました。


都留照人の実践株式倍バイゲーム・表

『都留照人(つるてると)の実戦株式倍バイゲーム』中古ゲームショップで出会った運命の一本。


都留照人の実践株式倍バイゲーム・裏

バブルの熱狂がまだ冷めやらぬ時代の、本格的なシミュレーションゲームだった。

これは、PCエンジンと呼ばれるゲーム機のもので、なかなかにハードボイルドな株取引のシミュレーションゲームです。
発売された1989年当時に、実在する会社と相場データを元にして利益を上げていくゲームでした。
※自分が中学生の頃に発売され、それを中古で購入しました。


PCエンジン本体

私の投資の師となった PC エンジン。この小さな機械が、世界のマーケットへと繋がっていました。

そしてこのゲームには、実際のチャートから、売買タイミングの問答冊子が付いており、これがとても良い勉強になりました。
ゲームなので、感覚だけで儲けて、失敗したら何度もリセットし・・・ということも可能ですが、チャートから相場の流れを読み取って売買をする。
これにより、ほんのわずかではありますが、投資のシステムを理解し始めたのです。


都留照人の実践株式倍バイゲーム・罫線表

ゲーム以上に読み込んだ付属のQ&A冊子。


都留照人の実践株式倍バイゲーム・罫線裏

ここで覚えたチャートの読み方が、後々プラスになります。


都留照人の実践株式倍バイゲーム・罫線中身

底値や大相場の兆しを読み解く。専門用語の解説を追うたびに、自分の知らない“もう一段深い世界”があることを知りました。

1.3. 高校生で開いたもう一つの扉

投資への理解が深くなりつつあった中学生は、部活に明け暮れる日々を送りながら高校3年生に。
高校生にもなると、自分で金融系の専門用語が書かれた本を見つけては読み、着々と知識を蓄えていくようになっていました。

しかし、投資のことだけを考えている訳にはいきません。
なぜなら高校3年生ですから、卒業後にどうするのか、決断の時が迫っていたのです。

とは言え、将来の夢は早々に決めていたから、それに向かって邁進すれば良いだけ。
のはずだったのですが、家庭の事情で大学へ行くのを諦めることに。

そして予想外に時間ができた私は、ずっと欲しかったパソコンを購入。
すっかりパソコンにはまってしまった私は、パソコンでプログラミングできるようになって、大好きなゲームを自分で作れるようになれないものか。

さらには、プログラミングできるようになれば、思いついたアイディアを自分の力で形にできる。
そう思うようになりました。

そんな高校生がいつものように、パソコン雑誌を買いに近所の本屋へ。
ついでに株関連の本も立ち読みしていると、ふと、起業に関する本に目が留まったのです。

「そうだ。プログラミングできるようになって、その技術力を元にして起業しよう。
それで30歳までに日本人の生涯賃金を稼いで引退を目指そう」
※私が高校3年生だった1996年当時の大卒・男性の生涯賃金は3億円ほど。

そう思ったのです。

次回は、24歳で迎えた初陣──そこで味わった“洗礼”と、人間の弱さが露わになる瞬間を語ります。

次回:洗礼──2002年の初陣で味わった敗北と、人間の弱さ

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